〔書評〕歴史書の棚　歴代王妃から見たフランス裏面史＝本村凌二
エコノミスト　第９５巻　第４５号　通巻４５２６号　2017.11.21

　歴史というものは視点を変えれば、全く別の様相を持つ。フランス史を女性である王妃の側から見ればどうなるか。阿河雄二郎・嶋中博章編『フランス王妃列伝』（昭和堂、２８００円）はその試みである。　16世紀半ば、アンリ２世とカトリーヌ・ド・メディシスの三女として生まれたマルグリッド・ド・ヴァロワ。彼女がナヴァール王アンリと結婚し式典が終わるとともに、新教徒を犠牲にしたサン＝バルテルミー虐殺事件が起こった。…