〔書評〕読書日記　次官になった外交官が使った“禁じ手”＝孫崎享
エコノミスト　第９５巻　第４６号　通巻４５２７号　2017.11.28

×月×日　私が外交官の大先輩、牛場信彦氏の評価を耳にしたのは外務省に入ってすぐ、在モスクワ大使館時代だった。１９６９年のころだ。　当時の大使は中川融(とおる)氏で、外務省きっての秀才と言われた。42歳でアジア局長、条約局長を務め、皆が次の次官は中川氏と思っていたときに牛場氏が次官になった。大使館は中川氏を慕う人々の集まりだから、牛場氏への評価は厳しかった。「戦前は軍部と一緒にナチ、ナチと言っていた…