〔書評〕歴史書の棚　独立運動に身を捧げたあるモンゴル軍人の肖像＝加藤徹
エコノミスト　第９４巻　第５号　通巻４４３４号　2016.2.2

　楊海英『日本陸軍とモンゴル』（中公新書、８４０円）は、中国領の内モンゴル（モンゴル人は「南モンゴル」と呼ぶ）の生まれで今は日本の大学教授である著者が、民族の独立運動史を語った熱い本だ。「本書の舞台は、満洲国とその西隣のモンゴル自治邦だ。満蒙(まんもう)と呼ばれていた大陸の草原を風のように駆け抜けて行った若き軍人たちの生き方を描いたものである」　著者は、民族自決の独立運動にかかわった青年軍人・ジョ…