生涯現役の人生学−−第１７回−−付きまとうカンダタ
週刊東洋経済　第6531号　2014.6.21

生涯現役の人生学第１７回付きまとうカンダタ　作家　童門冬二　一編の小説が、若い頃から私の行動を規制している。この小説のために、私はいまだにゴキブリ一つ殺せない。その小説というのは、芥川龍之介の『蜘蛛（くも）の糸』だ。あらすじをまとめると、・ある日、お釈迦様が極楽の蓮池の縁を散歩なさった・池の底は地獄につながっていて、多くの罪人がうごめいていた・お釈迦様はその群れの中に、カンダタという男を発見する。…