特集　平成クライアント列伝〜平成クライアント列伝
日経アーキテクチュア　第807号　2005.10.17

　「早く」「安く」。昨今の発注者の多くが開口一番、口にするのはその二言だ。しかし、歴史を振り返れば、「早く」「安く」を両方満たして、社会的資産となり得た建築はまずない、と言っていい。時間の制約の中でそれなりのコストと人材を投じてつくったか、ローコストであっても少しずつ時間をかけてつくり上げたか、どちらかだ。そして、「名建築」と呼ばれるものは後者に多い。今の日本にも、そうした姿勢の発注者が、少なから…