〔書評〕歴史書の棚　人間軽視、犠牲の不平等　日本軍兵士の悲惨を直視＝井上寿一
エコノミスト　第１０３巻　第６号　通巻４８６０号　2025.3.4

　今年は「戦後80年」であり、「昭和１００年」でもある。メディアはさまざまな戦争特集を組むだろう。出版の方も同様にちがいない。実際のところ、早くももっとも重要な著作と呼ぶべき吉田裕『続・日本軍兵士』（中公新書、９９０円）が刊行された。同著者による前著『日本軍兵士』（中公新書、９０２円）は読書界の話題をさらってベストセラーとなった。そこには前線で虫歯になった兵士はどうなるのか、また兵士たちが水虫に悩…