〔アートな時間〕映画　ある画家の数奇な運命　現代史の断面を点綴しつつあの世代の画家に謝意を捧げる＝芝山幹郎
エコノミスト　第９８巻　第３９号　通巻４６７０号　2020.10.13

この記事の情報
掲載誌	エコノミスト　第９８巻　第３９号　通巻４６７０号（2020.10.13）
ページ数	2ページ　（全1288字）
形式	PDFファイル形式　（1194kb）
雑誌掲載位置	９２〜９３頁目

　映画を見ている途中で、主人公の生年が気になりはじめた。１９３７年のドレスデンで幕を開け、60年代前半のデュッセルドルフに至るひとりの画家の半生。その周囲や背景を彩る時代と世相の転変に、なんとなく見覚えがある。いや、この眼で見たわけではないのだが、主人公と似た匂いの人たちと、私は会ったことがある。　もしかすると、中西さんや赤瀬川さんより少し上の世代の話ではないか。　映画の途中で、私ははたと思い当た…