〔書評〕歴史書の棚 新型ウイルスの脅威の下 カミュの傑作を再読=本村凌二
エコノミスト 第98巻 第10号 通巻4641号 2020.3.10
掲載誌 | エコノミスト 第98巻 第10号 通巻4641号(2020.3.10) |
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ページ数 | 1ページ (全934字) |
形式 | PDFファイル形式 (273kb) |
雑誌掲載位置 | 60頁目 |
歴史家の叙述は面白くないと難じられることがある。専門研究者として事実叙述は正確であっても、読者に感興を起こさせない。迫真ある現実を感じさせないのだ。 20世紀文学の最高傑作の一つに、私なら、アルベール・カミュ『ペスト』(新潮文庫、750円)を挙げる。アルジェリアのオラン市で血を吐きながら、鼠(ねずみ)が死んでいく。なにか奇怪な疫病の前兆だった。医師リウーはそれがペストであることに気づき、孤独な戦…
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