〔書評〕海外出版事情　中国　中国の「書痴」、日本に登場＝辻康吾
エコノミスト　第９５巻　第３７号　通巻４５１８号　2017.9.26

　中国語に「書痴」「書淫」「書虫」「書呆子」「書癖」などという言葉がある。いずれも日本語で言えば「本の虫」、英語なら「ブックワーム」となるが、同時に「書香」という言葉があり、「文人」を出した読書人の家柄を指す。一方で読書に没頭し、俗世のことはなにもできぬと知識人をバカにしながらも、本当は畏敬(いけい)しているのであろう。科挙の歴史を背景とした中国文化における書籍への深いしがらみがうかがわれる。　そ…