〔書評〕海外出版事情　中国　「もし国民党が勝っていたら？」＝辻康吾
エコノミスト　第９４巻　第６号　通巻４４３５号　2016.2.9

　しばしば「歴史にイフは許されない」と言われる。「クレオパトラの鼻」ではないが、「もし、あの時……」と詠嘆したくなることは多い。だが実際に起きた歴史が必然であったかどうかは、また別の問題である。この問題に真正面から挑戦する作品が現れた。　２０１１年に『盛世』（邦訳『しあわせ中国』新潮社）でバブル期の中国を鋭く風刺した政治空想小説を発表した陳冠中の新作『建豊二年』（15年、Oxford Univer…