〔書評〕読書日記 社会の歴史と家族を描く台湾文学の魅力=与那原恵
エコノミスト 第93巻 第33号 通巻4410号 2015.8.25
| 掲載誌 | エコノミスト 第93巻 第33号 通巻4410号(2015.8.25) |
|---|---|
| ページ数 | 1ページ (全1801字) |
| 形式 | PDFファイル形式 (215kb) |
| 雑誌掲載位置 | 63頁目 |
このたびの直木賞は東山彰良(あきら)『流(りゅう)』(講談社、1728円)が受賞した。受賞作は台湾で生まれ、9歳で日本に移住したという背景を持つ作家ならではの作品だ。疾走感あふれる文体によって描き出されるのは、台湾社会の歴史の重層性、戦後の時間とも言えよう。 物語は1975年、国民党の総統・蒋介石が死去した場面から始まる。台北の高等中学校に通う17歳の葉秋生は、あたりから服喪の気分が薄らぎ、蒋介…
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