〔書評〕歴史書の棚　テレビ映画で変わる日本人の対米観＝井上寿一
エコノミスト　第９２巻　第１８号　通巻４３４０号　2014.4.8

　戦後日本の対米態度は曲折に満ちている。占領下では宮武外骨『アメリカ様』（ちくま学芸文庫、１０５０円）が描くように、軍国主義日本を「終わらせてくださった」「アメリカ様」への感謝の念があった。　ところが独立回復後の１９５０年代は自立志向が強くなる。例えば第五福竜丸事件（54年）をめぐって日米関係は緊張する。あるいはバンドン会議（55年）への参加を通して、冷戦下でありながら、社会主義国の中国を含むアジ…