〔書評〕読書日記　バイク好き作家が語る直木賞作品の“乗り味”＝佐藤賢一
エコノミスト　第９２巻　第１８号　通巻４３４０号　2014.4.8

　×月×日　第百五十回ということで、芥川賞・直木賞が話題を集めた。うらやましい話だ。私の直木賞が第百二十一回で、何の節目でもなかったからだ。日付をいえば一九九九年の七月で、当時は「ノストラダムスの大予言」のほうが話題だった。もしや最後の直木賞作家になるのか、いや、それも地球が滅亡しては意味がないかと煩悶したが、結局は何も起こらなかった。それで普通に直木賞になったが、なお普通でないというか、私でも渦…