〔書評〕旬のテーマを読む　新藤兼人＝岡崎武志
エコノミスト　第９０巻　第２７号　通巻４２３５号　2012.6.26

　◇享年100、「一歩一歩」を信条にした映画の巨匠　映画監督で脚本家の新藤兼人が５月29日に亡くなった。享年はなんと１００。しかも昨年99歳で新作「一枚のハガキ」のメガホンを取っている。この先も映画史において、この記憶を破るのは難しいのではないか。　小野民樹『新藤兼人伝　未完の日本映画史』に、その映画人生１００年が、細かに描かれている。脚本家としてスタート、巨匠溝口健二を師匠に励むが、書いたものを…