人間邂逅「司馬遼太郎の宿題」●鈴木茂晴／諸田玲子
プレジデント　2013.7.29号　2013.7.29

　最初に読んだのはエッセイでした。日本経済新聞夕刊の「こころの玉手箱」という連載で、家族のことを書かれていました。両親への愛情があふれた、とてもいい文章で、「この人は、いったいどんな小説を書いているんだろう」と興味をもちました。まず取り寄せたのは『幽恋舟』。これが滅法面白かった。たちまち五〜六冊を読みました。　その後、日本経済新聞の喜多恒雄社長に会ったときに、諸田さんの話をしました。すると「新田次…