修羅場の後継学〜「井の中の蛙」と気づき、ショックに襲われる
日経トップリーダー　第299号　2009.8.1

　高橋孝氏は明治時代に創業した旅館の６代目社長である。高橋氏の旅館は温泉街屈指の老舗で、大規模な施設でも知られる。　子供のころ、旅館のスタッフに囲まれて育った高橋氏は大学卒業後に入社した。そのとき、旅館の社長は父だった。入社から数年後、バブル崩壊に直面し、お客は団体から個人に代わったが、老舗の集客力は根強く、業績は堅調だった。　だが、温泉街の他の旅館はバブル崩壊で大きな打撃を受けた。ある旅館の経営…