〔アートな時間〕映画　ミス・シェパードをお手本に　打ち解けないのに心がかよう　変わり者の老婆と劇作家＝芝山幹郎
エコノミスト　第９４巻　第５０号　通巻４４７９号　2016.12.13

　マギー・スミスの舞台を見たのは１９９３年のロンドンだった。オルドウィッチ劇場にかけられた「真面目が肝心」。オスカー・ワイルドの古典で、スミスはもちろんブラックネル夫人に扮(ふん)していた。　さほど好きな話ではないが、スミスの芝居は堪能できた。ニワトリが首を前後に動かすような得意のしぐさや、「ア・ハンドバッグ？」と訊(たず)ねるときの声などは、いまも鮮明に蘇(よみがえ)る。23年前というと、スミス…