〔書評〕歴史書の棚　中国理解を深化させる女性研究者のまなざし＝加藤徹
エコノミスト　第９４巻　第２７号　通巻４４５６号　2016.6.28

　日本の大学の研究者総数に占める女性の割合は、年々、右肩上がりで増加している。中国研究においても、女性研究者の存在感はますます増大していると感じる。　坂元ひろ子『中国近代の思想文化史』（岩波新書、８８０円）は、清朝末期から中華人民共和国建国までの時代を対象として、中国の知識人たちの近代化への模索と苦悩の歴史を読み解く労作である。　著者は一橋大学名誉教授で、１９５０年の生まれ。「文化大革命」の余熱が…