〔連載小説〕三度目の日本２０２７／２３　堺屋太一
エコノミスト　第９４巻　第２６号　通巻４４５５号　2016.6.21

この記事の情報
掲載誌	エコノミスト　第９４巻　第２６号　通巻４４５５号（2016.6.21）
ページ数	2ページ　（全2722字）
形式	PDFファイル形式　（502kb）
雑誌掲載位置	４４〜４５頁目

六　団塊の通り過ぎる風（５）「戻り風」の嵐−高度成長の逆現象が来る「よく来てくれたな、久し振りだね」　父の小久保昭次は貰い立ての赤ワインを抜いて、上機嫌に五つのグラスに赤い液体を満たした。今年の正月以来五カ月ぶりに親・子・孫の三代五人が揃ったのだ。だが、途端に好一は、「俺ワインは止めておく。帰りの車の運転があるから……」　とグラスを父親の方に押し戻して、「ウーロン茶でいいよ。冷たいの……」　といっ…