〔サイエンス最前線〕／５６　脳細胞の新生　生物学の常識を覆した新説＝永雄総一／青木田鶴
エコノミスト　第９３巻　第３４号　通巻４４１１号　2015.9.1

この記事の情報
掲載誌	エコノミスト　第９３巻　第３４号　通巻４４１１号（2015.9.1）
ページ数	2ページ　（全2775字）
形式	PDFファイル形式　（518kb）
雑誌掲載位置	７２〜７３頁目

　我々の体を作っている１兆個あまりの細胞のそれぞれには、生まれて死に至るまでの「一生」がある。例えば皮膚や胃腸の粘膜では、幹細胞と呼ばれる細胞が定期的に分裂して新しい細胞を作る。新しくできた細胞は元からある古い細胞と置き換わり、皮膚や粘膜の新陳代謝を行う。　しかしながら哺乳類の脳では、話は全くこれと異なる。脳梗塞(こうそく)により特定の領域の神経細胞が大量に死滅すると、その領域が担う機能が失われて…