〔書評〕歴史書の棚　人間の想像力を喚起する「黙示録」の歴史＝本村凌二
エコノミスト　第９２巻　第２４号　通巻４３４６号　2014.5.27

　一寸先は闇だといわれる現世であるから、先見の明を持つ者にはなんとも魅力がある。株式相場も占い師も競馬予想家も的中すれば、なにやら神秘につつまれる感がある。　まして国家や社会の運命を暗示する予言者ともなれば、民衆の心すら動揺させる。岡田温司『黙示録』（岩波新書、９０７円）は、古代から現代に至るさまざまな図像や言説にひそむ表象の系譜をたどりながら、「黙示録」が人間の想像力を呼び覚ます歴史を掘り起こす…