〔書評〕読書日記　“社会を変える仕事”対照的な試みの共通点＝米本昌平
エコノミスト　第９２巻　第２４号　通巻４３４６号　2014.5.27

　２００２年秋のある日、「少しお時間を」と佐野章二、水越洋子の二氏がわざわざ大阪から訪ねて来られた。この年の４月、私は科学技術文明研究所という、名前だけはたいそうな組織を立ち上げたところで、オフィスは小田急線「新百合ヶ丘」の駅前ビルにあった。「イギリスで始まった雑誌で『ビッグイシュー』というのがあります。これはホームレスの人しか売らない雑誌で、内容の質は高く、有名芸能人が無償で表紙に登場し、それが…