〔書評〕読書日記　戸惑いを言葉の鏡に映す堀江敏幸の魅力＝和合亮一
エコノミスト　第９２巻　第１３号　通巻４３３５号　2014.3.18

　×月×日　アメリカの博物誌家であり、思想家でもあるヘンリー・ソローが、１８３７年から61年にかけてつづった日記を読んだ。『ソロー日記　春』（Ｈ・Ｇ・Ｏ・ブレーク編、山口晃訳、彩流社、３６７５円）。この春編は２月24日から４月11日までの内容が収められており、これから四季ごとに刊行される様子である。「ソローの日記はいわゆる文学作品とはやや違うのではないか、と私は考えております。もっとふつうの、誤解…