サイボク笹〓静雄の古典ちちんぷいぷい〜忘年の交わり忘形の交わり
日経トップリーダー　第459号　2022.12.1

第１０回コロナ禍の余波により、近年あまり開かれなくなったものに忘年会がある。「忘年」とは一年の労苦をねぎらい、いやなことは忘れて、新しい年をすがすがしい気持ちで迎えるという意味が込められていて、実によくできた言葉だと思っていた。ところが、「忘年」の出典と思われる『後漢書』等の中国古典をひもとくと、どうも意味合いが違っているようである。唐代に学問を極めた秀才に韓愈（かんゆ）と孟郊（もうこう）がいる。…