一念発起〜手練手管に勝る「素人の純粋さ」
日経ベンチャー　第214号　2002.7.1

　料理好きの主婦だった私が「何か商売をしたい」と思い立ち、とんかつ店を始めたのは一九六五年、三五歳の時でした。　「材料が限られているから仕入れが簡単で、素人でも経営できそう」。“脱主婦”で始める商売にとんかつ店を選んだのは、そんな単純な理由でした。しかし、いざ店を開いてみると、わずか一カ月で考えの甘さを思い知らされました。　開店当初の熱気が冷め、店が落ち着いてきた頃に気になりだしたのは、料理を食べ…