デザインとはずがたり〜それでも、やっぱり客は来ない
日経デザイン　第425号　2022.11.1

第二三三回竹原あき子コロナ禍でパリの商店は変わった。それまで見なかった赤が目立つ。それも派手な赤を棚や椅子、床に張る。街行く客の目を、少しでも引きたいからだろうか。なのに、客は来ない。　それ以上に目を見張ったのは、１歳の幼児くらいの大きさがあるパンダ。パンダだけではない。あちこちにぬいぐるみのクマ、ペンギン、ライオンなどが歩道に顔を向け、通行人にすがるような視線で、椅子に寝そべり、腰かけ、はいつく…