〔書評〕歴史書の棚　数奇な運命をたどった“流れ公方”の生涯＝今谷明
エコノミスト　第９４巻　第２５号　通巻４４５４号　2016.6.14

この記事の情報
掲載誌	エコノミスト　第９４巻　第２５号　通巻４４５４号（2016.6.14）
ページ数	1ページ　（全963字）
形式	PDFファイル形式　（230kb）
雑誌掲載位置	５６頁目

　足利義稙(よしたね)といえば、室町幕府第十代の将軍であるのみならず、一度は将軍を廃立され、十余年を経て再び将軍に任じ、すなわち二度も将軍になった変わり種で、実名も初め義材(よしき)、のち義尹(よしただ)、義稙と二度変えている。また晩年は、重臣と対立した揚げ句、自ら京都を出奔し、阿波で客死するという数奇な生涯をたどった。　さらに、移動した先々が、美濃→京都→近江→河内→京都→越中→周防→京都→和泉…