〔連載小説〕三度目の日本２０２７／２２　堺屋太一
エコノミスト　第９４巻　第２５号　通巻４４５４号　2016.6.14

六　団塊の通り過ぎる風（４）変わる「ニュータウン」　二〇二六年五月八日金曜日、小久保平治は多摩ニュータウンに父母を訪ねた。　連休明けの二日だけの通勤日とあっては経済産業省も静か、参議院の予定審議は来週から。今週の二日間は「開店休業」の体だ。これを予測していた小久保平治は、五時過ぎに経産省を出て、多摩ニュータウンに向った。　車を運転するのは一人息子の好一、京都の私大生、「高齢者心理学提言者」吉田松也…