〔闘論席〕池谷裕二
エコノミスト　第９３巻　第４６号　通巻４４２３号　2015.11.17

　３Ｄプリンターを職場に導入することにした。しばらくは様子見を決め込んでいたが、部品を思いのままにデザインできる自由度は、研究の幅を拡大してくれ、創造性が試される基礎科学の現場では大きな魅力がある。　ただし便利さにはあしき面もつきもので、世間では３Ｄプリンターを利用した犯罪も起きている。昨年、殺傷能力のある拳銃を製造したとして、武器等製造法違反容疑の逮捕者が出たのは記憶に新しい。樹脂製の拳銃は金属…