〔闘論席〕池谷裕二
エコノミスト　第９２巻　第４６号　通巻４３６８号　2014.10.28

　10月に入っても、デング熱の感染が続いている。海外渡航歴のないデング熱の発症者が確認されたのは８月下旬。国内では約70年ぶりである。日本ではデング熱になじみがないため、反射的に恐怖を覚えてしまいがちだ。しかし、行政の対応には疑問が多く、結果として残念ながら過剰に不安をあおる報道がなされた。　行政は蚊を駆除するため、大量の駆虫剤を散布した。用いられたのは「エトフェンプロックス」という農薬だ。比較的…