〔アートな時間〕映画　グランド・ブダペスト・ホテル　趣味のよい荒唐無稽と旧世界に対する惜別＝芝山幹郎
エコノミスト　第９２巻　第２６号　通巻４３４８号　2014.6.10

この記事の情報
掲載誌	エコノミスト　第９２巻　第２６号　通巻４３４８号（2014.6.10）
ページ数	2ページ　（全1200字）
形式	PDFファイル形式　（399kb）
雑誌掲載位置	５８〜５９頁目

　ウェス・アンダーソンは趣味がよい。カラフルなジオラマを思わせる世界を緻密に構築し、その小宇宙で登場人物を自在に動きまわらせる。泥棒を働かせたり（「アンソニーのハッピー・モーテル」）、冒険に赴かせたり（「ライフ・アクアティック」）、駆け落ちをさせたり（「ムーンライズ・キングダム」）。そんな彼らの背景には、たいてい機能不全の家庭がある。擬似的な家族が築かれることも珍しくない。「グランド・ブダペスト・…