〔本　文学・思想書を読む　他〕１９世紀という〜　−−他
エコノミスト　第７９巻　第２９号　通巻３５１４号　2001.7.10

文学・思想書を読む長谷川　　宏１９世紀という時代とわたりあった作家フロベールを活写　質量ともに重厚な作家論にして作品論、それがＡ・ティボーデ『ギュスターヴ・フロベール』（戸田吉信訳、法政大学出版局）だ。　フロベールの小説は、スタンダールやバルザックにくらべると、どの登場人物たちもそのもてる生命力を燃焼しきって生きている潔さがなく、作品全体ににがい虚無感のようなものがただようが、Ａ・ティボーデの論を…