〔文学・思想書を読む〕無惨なり、大江健三郎。−−他
エコノミスト　第７９巻　第１４号　通巻３４９７号　2001.3.27

文学・思想書を読む無惨なり、大江健三郎。長谷川　宏（哲学者）　無惨なり、大江健三郎。　読後、思わずそう叫びたくなったのが、近作『取り替え子』（講談社）だ。　作者の若い頃からの友人で、義兄にも当たる映画監督伊丹十三の自殺をめぐる物語である。自殺が若い女性とのスキャンダルにからむものでもあっただけに、ジャーナリズムの飛びつく恰好の話題になったのは記憶に新しい。遺族や近親の人びとがそうしたジャーナリズム…