〔文学・思想書を読む〕奇人を活かしにくいいまという時代
エコノミスト　第７８巻　第３０号　通巻３４６０号　2000.7.18

ｐ１２２文学・思想書を読む奇人を活かしにくいいまという時代長谷川　宏（哲学者）　奇人伝とか奇人列伝とか呼ばれるものがある。　読むと、奇人をうむ時代があると感じられる。奇人が厄介がられながらも愛される時代。それはやはりいい時代なのだと思う。戦後の十数年はまちがいなくそういう時代で、飢えと貧困と混乱のなかに精神の遊びのある時代だった。　宮田昇『戦後「翻訳」風雲録』（本の雑誌社）は、その時代の雰囲気を何…