読書　ブティック　文庫　めぐる季節に
週刊ダイヤモンド　2003.3.15号　2003.3.15

読書　ブティック　文庫　めぐる季節に文芸評論家●岡崎武志　久しぶりに安藤鶴夫を読んだ。講談社文芸文庫のおかげだ。〈あんつる〉という愛称で親しまれた演芸評論家。随筆の名手でもあった。随筆集『歳月』には、専門の寄席や演劇の話題もあるが、古き東京のたたずまいを慕うように書いた言葉によるスケッチがすばらしい。　「百花園は、いま、さくらの盛りである。れんぎょうがまた地上をいっぱいに支配して、茶店の前には、紅…